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2022年11月22日
アジア・オセアニア
脱炭素時代を見据えた技術発信、第17回エレクトロヒートシンポジウム開催中

第17回エレクトロヒートシンポジウム「産業電化が導くカーボンニュートラルの未来」(日本エレクトロヒートセンター主催)がオンライン形式で開催中だ。オンデマンド配信による講演と14の技術発表、さらに55者が出展したバーチャル展示など豊富なコンテンツがそろい、「脱炭素社会」の実現に欠かせない産業電化の最新情報を発信している。1日時点で2251人が入場登録をしており、前回よりも1000人以上も多い来場者で開幕直後から盛り上がっている。

GXへ議論加速、電化が必要不可欠

入場登録は日本エレクトロヒートセンターのホームページ特設内サイト(https://jehc-sympo.com/)。講演や技術発表は事前収録した動画を配信しており、無料で登録後、30日までの期間中に何度でも聴講できる。また、好きな時間に来場してバーチャル展示をめぐり、資料のダウンロードや問い合わせも可能だ。

温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(脱炭素)」への議論が慌ただしくなっている。7月、首相官邸でグリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議が立ち上がり、脱炭素に向けて産業構造を変革させる議論が始まった。経済産業省でも企業を後押しする「GXリーグ構想」が動きだした。

活発な議論と並行し、各企業には対策の実行が求められている。政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(21年)や「第6次エネルギー基本計画」(同)で「電化」を脱炭素の手段に位置づけた。電気エネルギーを利用した加熱・冷却であるエレクトロヒートは、電化を推進するための有力な手段だ。

政府、産業界から3氏が講演

今回のエレクトロヒートシンポジウムは、産業界の脱炭素化を加速させるエレクトロヒートに関連した最新情報を一堂に集めた。講演には3氏が登壇する。基調講演を務める経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課長の稲邑拓馬氏は「カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策 改正省エネ法」と題し、23年4月に施行が迫った改正省エネ法を解説する。

続いて特別講演には日本化学工業協会常務理事の半田繁氏が「化学産業における循環型社会構築に向けた取組み」、サントリーホールディングスサステナビリティ経営推進本部の西脇義記部長が「サントリーグループの脱炭素戦略と取り組み事例」について講演する。

技術発表14本、ダイジェスト版も用意。バーチャル展示に55者出展

技術発表は14本。エレクトロヒートの主要技術である抵抗加熱、電磁波加熱、誘導加熱、赤外加熱、ヒートポンプ、業務用電化厨房についてメーカーや導入企業が省エネルギーや二酸化炭素(CO2)排出削減の効果などを報告する。各発表を1分にまとめたダイジェスト版も用意した。ダイジェスト版を確認してから聴講する順番を決められるため、参加者はより技術への理解を深められる。

また、バーチャル展示には55のメーカーやエンジニアリング会社、団体、大学が出展する。参加者は仮想ブースを巡って技術やサービスの情報を入手できる。今回は「質問」を標準機能として設けており、出展者に問い合わせも可能だ。

会期中、期間限定の特別配信もある。7日-13日は、ほっとコンサルティングによる「ヒートポンプ導入には支援者が必要!最新事例を添えて」を配信する。続いて14日-20日はJFEエンジニアリングによる「遠隔監視とAIの活用による廃棄物処理施設の操炉支援」、21日-30日は関西電力が「GHG排出量見える化ソリューションのご紹介」を配信する。

テーマは産業電化が導くカーボンニュートラルの未来

シンポジウムは日刊工業新聞社が共催、経済産業省と環境省が後援、関連30団体が協賛する。WEB開催は今回で3回目。前回(21年開催)は3567人が参加し、WEBで初開催した前々回(20年)よりも約900人増加した。また前回の参加者のうち製造業が47%を占めており、モノづくりの現場での電化への関心の高さがうかがえた。電力・ガス・エネルギーが33%で続き、他にも建設、情報通信、サービス、卸し・小売り業の入場もあり、幅広い業種に電化への期待が広がっていた。今回のシンポジウムにも幅広い情報が一堂に集まっており、どの業種の参加者も脱炭素の手がかりを得られるだろう。

(URL)

https://newswitch.jp/p/34496