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2024年1月23日
アジア・オセアニア
非鉄金属業界団体トップインタビュー/日本鉱業協会・野崎明会長>資源循環で国内製錬所の強み生かす。鉱物資源を安定確保へ

「世界各国でポストコロナの金融政策の動きが色濃く出た一年だった。非鉄金属の最大消費国である中国の経済は期待したほどの回復が見られず、非鉄需要にも力強さがなかった。また、ウクライナ問題が収束しない中で中東でも衝突が起こるなど、想定外の出来事に世界が振り回された印象もあった。当業界で言えば、世界的に重要鉱物に対する関心が高まり、日本政府も経済安全保障の観点から支援制度の拡充などに動いてくれている。昨年には広島サミットで重要鉱物のサプライチェーン強靭化に向けた行動計画が合意されたほか、国際エネルギー機関(IEA)が9月に開催した重要鉱物に関する国際会合などを通じて国際的な枠組み作りも進んだ。持続可能で責任ある資源開発とサプライチェーン構築の重要性を世界が再確認した年だった。これは将来のGX(グリーン・トランスフォーメーション)社会を見据えた布石だと理解している」
――24年の展望は。  
「世界経済、世界情勢の混乱がどう整理されていくかに注目している。政治では米国をはじめ多くの国で大統領選挙や議会選挙の予定がある。特に資源国では、そこで資源ナショナリズムと関連した動きが出るかに興味がある。また、世界経済が揺らぐ中、各国がどんな手を打つか。日本の金利政策の動向、中国の景気刺激策の効果も注視したい。米国では利上げ打ち止めと言われているが、景気後退の兆しがある中でどういう政策が打たれるかに関心がある」 ――非鉄価格と需給の動向をどうみますか。
――非鉄価格と需給の動向をどうみますか。  
「23年は中国の経済回復が期待外れだったこともあって非鉄価格も少し下げた。需給バランスは大きく崩れなかったが、市場心理の悪化が先行したためとみている。24年は、主要な非鉄金属のいずれも供給側がやや強いと見られていることは弱気材料かもしれない。だが、例えばパナマの大型銅鉱山で閉鎖の話が持ち上がっているように、需給バランスが大きく崩れていない中で想定外の供給障害などが起これば価格も反応しやすい状況かと思う。また、各国の経済政策の転換、あるいは中国の景気対策の効果次第で需給は大きく変わるだろう」
――鉱物資源の安定確保に向け、政府の支援策が強化されている。  
「経済安全保障推進法を含め、政府が資源確保に力を入れていることは大変ありがたい。資源獲得競争の厳しさが増す中、税制やリスクマネー供給、資源外交といった幅広い面で企業の権益獲得を支援してくれている。鉱促懇で要望していた鉱業税制(海外投資等損失準備金制度)の適用期限延長が認められたことについても関係者の尽力に感謝したい。資源外交では西村康稔前経済産業相が先頭を切って、アフリカ訪問による資源国との関係強化やIEAの重要鉱物に関する会合への出席、英国やカナダ、豪州など主要国との協力覚書締結などに積極的に動いていただいて感謝している。今後の資源開発においては資源国と消費国の互恵的な関係構築に向けて、ODAなどの政策ツールの活用という形での支援も期待され、激しさを増す資源獲得競争の中でも日本の強みを見いだしていきたい。一方、実際の案件形成においては資源外交、鉱業税制を含む財政面での支援のほか、資源開発に携わる人材の確保・育成が課題の一つだ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2969be1e3b26e104c2bc1dfa3c801b87cc4945a1