豊田通商は14日、自動車リサイクルを手掛ける米ラディウス・リサイクリングを買収すると発表した。米現地法人を通じて同社の全株式を9億700万ドル(約1344億円)で取得する。カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ化)に対応した製品の需要は高まっており、豊田通商はトヨタ自動車などへのリサイクル材の供給体制を整える。
米現地法人が設立する子会社とラディウス社が合併する「逆三角合併」方式で買収する。合併の対価としてラディウス社の株主には1株当たり30ドルを支払う。米当局の認可などを経て、7〜9月に買収を完了することを目指す。
ラディウス社は1906年設立で、米ナスダック市場に上場している。米国やカナダ、プエルトリコに計100カ所超のリサイクル拠点があり、米オレゴン州には電炉も保有する。使用済み自動車などから鉄やアルミ、銅などを回収・リサイクルする事業を手掛けている。
豊田通商は世界各国でリサイクル事業を展開しており、使用済み自動車の99%を再資源化するなど高い技術を持つ。リサイクル事業は重点分野の一つで、2030年までの10年間に約2500億円を投じる計画を掲げていた。今後はラディウス社の拠点も活用することで、トヨタなどへのリサイクル素材の供給を拡大したい考えだ。
トランプ米政権は米国への投資拡大を求めているほか、関税の引き上げに動いている。12日には米国が輸入する全ての鉄鋼とアルミを対象に25%の関税も課した。豊田通商は「今回の買収案件は数年前から検討していたものであり、トランプ政権の影響を踏まえたものではない」とコメントした。
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