「欧州で自動車を販売する日系メーカーへヒアリングしていては初動が遅れてしまう。欧州に社員を配置し、(規制などの)情報を現地でいち早く取得する体制を整えた」(旭化成幹部)――。
プラスチックのリサイクル技術などを手掛ける同社をはじめ、大手化学メーカーなどが、リサイクル事業に本腰を入れ始めた。欧州連合(EU)の欧州委員会が2023年7月に公表した、新車に必要なプラスチックの25%以上を再生品にするといった規則案が、いよいよ現実味を帯びてきたためだ。環境省はEUの規制強化に対応すべく、早ければ2024年9月にも自動車への再生プラスチック活用を促す産官学のコンソーシアムを立ち上げる。日本自動車工業会や化学メーカーなどが所属するプラスチック循環利用協会などが参画する見通しだ。
自動車向けのプラスチックを再生する上で有望な技術となりそうなのが、ケミカルリサイクルだ。使用済み製品から回収した廃プラスチック(以下、廃プラ)を化学的に分解して原料にまで戻し、新品(バージン材)と同等の品質にまで再生する技術で、欧州をはじめ世界各国で開発競争が繰り広げられている。ケミカルリサイクルはコストの面で課題はあるものの、粉砕して再生するマテリアルリサイクルと比べ、耐久性や意匠性といった品質面で軍配が上がる。
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