米国のピート・ブティジェッジ運輸長官は5月16日、カナダのオマール・アルガブラ運輸相、ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事、同州デトロイト市のマイク・ダガン市長らとともに、米国とカナダを結ぶ872マイル(約1,403キロ)の幹線道路を、2国間代替燃料回廊〔電気自動車(EV)回廊〕として設定すると発表した。両国間のEV車両での往来を促すため、2国間EV回廊には50マイルごとに直流(DC)急速充電器を設置する。
今回発表された2国間EV回廊はミシガン州カラマズーとカナダのケベック州ケベックシティを結ぶ道路で、米国内では、陸上交通修繕法(FAST法)セクション1413の下で設置された代替燃料回廊につながる。米国とカナダは3月、国境を越えた代替燃料回廊の開発のほか、EVの充電に関する基準の共通化や、エネルギー取引の強化などにおける2国間の協力を約束していた。
米国政府は、2030年までに米国の全新車販売の50%をバッテリー式EV(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)および燃料電池車(FCV)とする目標を設定している。2021年11月15日に成立した超党派のインフラ投資雇用法の下では、EV用充電器の設置に向け75億ドルが割り当てられており、そのうちミシガン州には1億1,000万ドルが供与される予定となっている。またカナダでも2026年までに新車販売台数の2割をBEV、PHEVおよびFCVとする政府目標に向け、充電器の設置に約1,500万カナダ・ドル(約15億3,000万円、Cドル、1Cドル=約102円)が拠出される。ブティジェッジ長官は「米国とカナダは長年、交通問題に関して生産的なパートナーシップを築いてきた。その精神で、史上初の米国・カナダEV回廊を発表できることを誇りに思う」と述べた。またアルガブラ運輸相は、今回のEV回廊が「ドライバーが国境を越えて安心して充電または給油できるようにするものだ。これは、人々が従来の燃料コストを節約できると同時に、空気をよりきれいにすることに貢献する」と歓迎している。さらに、ダガン市長は「この回廊は、(米国側の)デトロイトと(カナダ側の)ウィンザー間を通り、米国とカナダ間のEVによる交通と、貿易、製造を促進するだろう」と期待を寄せた。
(注)この代替燃料回廊は、電気、水素燃料電池、プロパンガス、および天然ガスの燃料供給技術を採用する乗用車および商用車の全米における機動性を向上させるため、連邦政府が主要な高速道路沿いに指定した充電・代替燃料供給施設を結ぶネットワーク。合計で7万5,000マイル以上におよぶ。
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