米国エネルギー省(DOE)は10月19日、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法に基づき、電気自動車(EV)用バッテリーの国内生産拡大を目的としたプロジェクトに対し、12州の20社に合計28億ドルの助成金を付与すると発表した。企業の投資額を含めると、プロジェクトの総額は90億ドル以上となる。今回の助成金は、同法の下で提供する国内のバッテリーサプライチェーンの強化に向けた総額70億ドルの助成金うちの第1弾のプログラムとなる。
助成金の対象には以下のようなプロジェクトが含まれる(企業ごとのプログラム詳細はエネルギー省のファクトシートを参照)。
年間約200万台のEVに供給するリチウムと、年間約120万台のEVに供給するグラファイトの開発。
年間約40万台のEVに供給するニッケルの生産。
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6、注2)の大規模な商用生産施設の設立(米国初)。
電極バインダー用施設の設立(2030年に見込まれる国内需要の45%の供給が可能)。
年間推定60万個のバッテリーの負極材用に供給する酸化ケイ素の生産施設の設立(初の大規模商用施設)。
正極材向けリン酸鉄リチウム生産施設の設立(米国初)。
エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は「バイデン大統領のアジェンダと歴史的な投資がわれわれのクリーンエネルギーの未来が米国製であることを確実にし、米国の製造業にとって大変注目すべき時期だ。高度なバッテリーとその部品を国内で生産することで、化石燃料からの移行が加速し、EVに対する強い需要に対応できるようになり、全米でより多くの高給の仕事が創出される」と述べた。
DOEは今回の助成金に加え、重要鉱物の確保を目的とする「米国バッテリー材料イニシアチブ」を開始することも発表した。内務省の支援を受けてDOEが管轄する。このイニシアチブでは、パートナー国や同盟国との協力を通じた重要鉱物のサプライチェーンの世界的な強化や、重要鉱物に関するプロジェクトの許認可手続きを加速させるための調整などを行う。
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/10/433944705282c97a.html