米国エネルギー省(DOE)は7月9日、携帯電話やパソコンなどに搭載されている消費者向け電池のリサイクルを拡大し、より持続可能な国内の電池サプライチェーンを構築するための助成金として、事務用品小売りのステープルズ(本社:マサチューセッツ州)と電池小売りのバッテリープラス(同:ウィスコンシン州)に対し、合計約1,400万ドルの助成金を提供すると発表した。
同助成金は2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)で、「電池のリサイクル、再処理、および電池回収のための資金」(DE-FOA-002897)として割り当てられた合計1億2,500万ドルの一部。すでに2024年3月から17プロジェクトに対して合計約6,180万ドルが拠出されており、今回は利用済み電池の回収と輸送を行う小売業向けに特化したプログラムとして、各社に約700万ドルが支給される。
ステープルズは、今回の助成金をもとに、すでに全米約1,000店舗で展開しているリサイクルサービスを拡大。3年以内に追加で375店舗にリサイクルセンターを設置し、回収規模の拡大を目指す。また、バッテリープラスは、リサイクル料の廃止(注1)や教育プログラムを通した消費者への働きかけを行い、700店舗以上での回収量を増やすほか、電池の選別と梱包(こんぽう)を効率化する設備を整えることで、電池サプライチェーンの合理化を図る。両社ともに、バイデン大統領が提唱する「ジャスティス40イニシアチブ」(注2)の推進を視野に入れ、必要な投資を軽んじ汚染が重しになっている恵まれていない地域での回収に重点を置く。
DOEのジェニファー・グランホルム長官は「全国に数百の回収拠点を設けることで、古い携帯電話やノートパソコンの電池のリサイクルを容易にする。その結果、通常は中国から調達する重要な鉱物を、新しいクリーンエネルギーの製造に再利用できる。DOEは、循環型で持続可能な国内サプライチェーンの構築に貢献できることをうれしく思う」とし、消費者が国家安全保障において重要な役割を果たす、と述べた。
(注1)一部の州では、使用済み電池をリサイクルに持ち込む際、消費者が費用の支払いを求められる場合がある。
(注2)気候変動対策やクリーンエネルギーへの連邦政府の投資から得られる利益全体の少なくとも40%を地域社会に提供するバイデン政権によるプログラム。
米エネルギー省、小売り大手2社の電池リサイクルに1,400万ドルを拠出(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)