政府はベトナム政府と同国からの介護人材の受け入れ拡大で合意した。政府は1年以内に3000人、
2020年夏までに1万人の数値目標を設け、ベトナム側もこれに協力する。期限と受け入れ数を掲げ、環境整備を急ぐ。
介護分野の人手不足は深刻で、今回の数値目標方式をインドネシアなど他国にも広げ、介護人材を確保する。
政府の健康・医療戦略推進本部(本部長・安倍晋三首相)がベトナムの労働・傷病兵・社会問題省と6月に日本への介護の人材受け入れ促進で合意したことが判明した。
首相は24日、外国人労働者の受け入れ拡大への環境づくりを関係閣僚に指示した。
日越首脳は年内にも介護・医療で日本とアジア各国が協力を進める「アジア健康構想」で覚書を結ぶ見通し。
介護人材の受け入れ強化も柱の一つにする。政府はインドネシアやカンボジア、ラオスなどからも受け入れ拡大を進める。
ベトナムからの人材の受け入れは昨年11月から介護分野でも始まった外国人技能実習制度を活用する。
日本語試験で、ある程度日常会話ができる「N4」の能力を持つ人を対象に最長5年の滞在を認める。
技能実習を修了した人はさらに最長5年の就労資格を得られる新制度も創設する。
介護の技能実習制度の利用者はまだ数人しかいない。来日後1年内に、日本語で日常会話ができる「N3」の能力を得なければ帰国しなければいけない。
学習費用の自己負担が重荷になり、来日に二の足を踏むためだ。
政府はベトナム人の学習費用を支援し、高齢者の「自立支援」の手法も学べる優良法人を選ぶ。
日本人と同様の給与水準も保証する。第1弾で12の業者を選定した。12業者で3千人を受け入れられる。
ベトナム政府もまず6つの優良業者を人材を送り出す機関として認定する。
現在、介護人材は経済連携協定(EPA)を通じて来日している。08年~17年の累計で約3500人で、新たに3千人来日すれば、海外の人材はほぼ倍になる。
政府の予算で実施するEPAによる受け入れ拡大には限界があり、政府は今後、技能実習制度を活用する。
経済産業省によると15年に日本の介護人材は4万人足りなかった。外国から1万人来ても3万人超足りない。35年には人材不足は79万人に達するという。
人手が足りないことを主因に15~17年度に全国で整備された特別養護老人ホームは計画の7割にとどまる。
国際的な人材獲得競争は激しい。韓国は外国人労働者の人数の枠を決めて受け入れを進める。日本も数値目標を定めて受け入れ拡大を目指すものの、
外国人技能実習制度で一定の条件を定めているため、簡単に人数が伸びるかはわからない。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO33346320U8A720C1SHA000?unlock=1&s=1