中国の鉄鋼輸入が2020年は11年ぶりに世界の国・地域別で最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大からいち早く国内経済が復調したことや、環境規制で製鉄上工程の操業条件が厳しくなり、鉄鋼半製品を海外から輸入する動きが強まった。かつては輸出を急増させ世界の鉄鋼市場を揺るがした中国だが、今後は輸入市場として再び存在感を高めそうだ。
世界鉄鋼協会によると、20年の中国の鉄鋼輸入はスラブやビレット、ブルームなど半製品を含め3790万トンとなり、前年比2・4倍だった。国・地域別ではEUや米国を抜き、リーマン・ショック直後で中国経済のみが堅調だった2009年以来の首位となった。
中国は国内生産の拡大で輸入材を代替し高付加価値品のみが残る形になっていたが、近年は環境規制の高まりを受け徐々に半製品輸入が増えていた。20年はコロナ影響で国内販売が一時落ち込んだインドや中国企業が現地で製鉄所を立ち上げたマレーシア、インドネシア、瞬間的には日本からの輸入も急増した。
中国の鉄鋼輸入が年間3千万トン台に達したのは高度成長期で鉄鋼を「爆食」していた04年以来。20年は03年の4320万トンに次ぐ過去2番目の高水準だった。国内でのCO2排出を減らしたい中国政府は関税を引き下げ半製品輸入を奨励しており、中国ミルが戦略的に海外からの半製品調達を図る動きも加速している。
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