日本鉄源協会は2050年に世界の鉄スクラップ発生量が9億6400万トンに増えると予測した。20年比では約50%増加。先進国の発生量がほぼ横ばいで推移する中、中国や、その他新興国での増加が全世界での発生量を押し上げる。60年までのカーボンゼロを表明した中国では電炉導入や鉄スクラップ回収に注力しており、世界的にも脱炭素化は緊急課題。今後は鉄スクラップ需要拡大を背景に一定の市況が維持されるとした上で、「それを原資に世界的な鉄スクラップ回収システムの強化が推進される」との見方を示した。
同予測値はこのほど日本鉄源協会が発行した「世界の鉄スクラップ需給動向」(2021年版)に掲載された。鋼材見掛け消費量と、それに対する鉄スクラップ発生率(鋼材循環率)を想定することで50年までの製鋼用鉄スクラップ発生量を試算した。
22年以降の鋼材見掛け消費量は人口動態や総固定資本形成の伸び、1人当たりの鋼材消費量などを勘案し、中国は年率1%減、先進国はゼロ、中国以外の新興国は年率1・5%増で推移する想定。
鋼材循環率は、中国が年率0・8%増、先進国は足元の水準維持、中国以外の新興国は年率0・4%増と置いた。
この前提で世界の鉄スクラップ発生量を予測した結果、30年は7億7800万トン、40年は8億6900万トン、50年には9億6400万トンに増加すると見込んだ。
20年の世界の鉄スクラップ発生量は推定6億4100万トン。30年の発生量は20年比21・4%(1億3700万トン)増、40年は同35・6%(2億2800万トン)増、50年には同50・4%(3億2300万トン)増となる。
50年発生量の内訳は、中国が4億1千万トン、中国を除く新興国が3億900万トン、先進国が2億4500万トン。20年比で中国は1億3500万トン増、中国を除く新興国は1億7500万トン増、先進国は1400万トン増。
なお、50年の世界の鋼材消費量は19億3100万トンと20年比9%(1億5900万トン)増、鋼材循環率は49・9%と同13・8ポイント上昇の見通し。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d13bba1332e32f39cba5a6b1084279e117332340